ミッション・ラザロに思う -神の逆説−


■今回カナンキリスト教会の佐藤先生との交わりと祈りの中で、ホームレスの兄弟姉妹自身による伝道のビジョンが与えられました。題してミッション・ラザロ!ご存じのとおり、ラザロは貧乏にあえいでおり、そのできものを犬が舐めるという暮らしぶりでした。寿町でも生きている人の足にウジがはえる現実があります。しかし彼は肉体の死後、アブラハムのふところにおいて、慰められました(ルカ16章)。そのラザロです!。24日のオアシス徹夜祈祷会において3人の寿町の兄弟たちがデビューを果たしました。リバイバル新聞の谷口氏も参加して、彼らの証しを取材して下さいました。何も持たない、ただキリストだけを携えて参加された彼らの証しに、祈祷会の全参加者は深い感動を覚えておられました。共に祈ることができたこの機会を下さった主に感謝をいたします。

■クリスチャンは、ともすると、貧しい人々を見て、自分も何かしてあげなくてはとか、福音を伝えなくてはとか、考えます。しかししばしばそのように考える時、何か圧迫を受け、逆に自分に一体何ができるのだろうか、と考え込んで、むしろ退きがちになります。自分にはできることが何もない、自分には福音を伝える力もないと、むしろ後ろ向きの傾向が出てしまいます。私も実はそうでした。しかし、感謝します。実際はその逆です!彼らは物質的には何も持たない人々かも知れません、が、彼らは富んでいるのです。ただキリストだけによって、むしろ彼らこそ富んでいるのです!彼らが一言、ハレルヤ、主に感謝します、と証しする時、その言葉は私の同じ言葉よりもはるかに重いのです。はるかに神の栄光を表わしているのです。貧しい者は幸いである、富んで満足している者は禍である、とイエスは言われました。人の目には絶望でも、神の目の置かれる所には希望があります。そこはイエスをよみがえらせた神の復活の力により、神の栄光の場所と変えられるのです!

■虚飾と虚栄に富み、人間の価値を会社などの組織とか、社会からの評価とかによって測り、時としてその物指しに適合しないばかりに、リストラなどの口実によって生活の手段を絶たれてしまう状況で、しかもそれが正当であるかのような価値観の蔓延する今日の日本において、どれほど多くの人々が心を磨り減らして、恐れと不安の中に生きていることでしょう。人間が人間であるだけでは認知されない世の中です。このような世の中にあってミッション・ラザロの兄弟姉妹の証しは、何も持たないことを恐れる必要が無いことを証しする、何という励ましであることでしょう。仮にそのような状況に陥ったとしても、命を断つなどの必要はまったくないのです。人の目から見て、絶望と思える状況こそ、神の栄光の現れるチャンスです。人のピンチは神のチャンスです!一方において、虚飾と虚栄に安住している人々にとっては、彼らの証しは、心の奥底を探られるものとなります。たとえクリスチャンであっても、果たして自分はキリストだけを自分の心の中心においているのか、主を愛すると宣言できるのは、主が生活の糧を供えて下さり、適度な住居と職を守って下さるからか、もしそれらのものを取り去られても、主を愛すると心から宣言できるか、と彼らを通して聖霊は問いかけるのです。ここで否応なく、私たちの心は裸にされ、自分のプライドとか功績などが砕かれるのです。しかし感謝です、そのようなものが砕かれれば砕かれるほど、すなわち真に悔い改めのある時に、聖霊の油塗りは濃厚になります。聖霊のさやかな声が明確に聞こえるようになります。

■彼らに私たちが何かをしてあげるのではありません。彼らが自ら立ち上がり、神の前で自らの信仰によって、自ら導きを求め、自ら従い、自ら建て上げるのです。ミッション・ラザロは彼ら自身のものです。そして彼らがホームレスの人々に福音を伝え、養い顧み、またミッション・ラザロを得るのです。こうして単なる福祉やボランティア活動が無力である寿町でも、キリストの力によって、キリストにあって自ら立ち上がる人々が次から次へと得られます。こうして彼らはミッション・ラザロとして、1)悔い改めの福音、2)励ましの福音、3)神の栄光の福音を携えて、招かれる所へはどこへでも出かけて行きます。神に創られた者として、自らの創造者に対して責任を自覚し、すなわち信仰による神の愛への応答だけを持って、外見的には何もない数多くのラザロが出て行こうとしています。神は彼らの慈愛に満ちた父として、そのような彼らの様をご自身の御霊の油塗りと栄光をもって祝福し、この病んでいる日本にご自身の光を照らし輝かして下さるでしょう。
主は、み腕をもって力強い業をなし、心の思いの高ぶっている者を追い散らし、権力ある者を王位から引き降ろされます。低い者を高く上げ、飢えた者を良い物で満ち足らせ・・・これは神の深いあわれみによる。そのあわれみにより、日の出がいと高き所からわれらを訪れ、暗黒と死の陰にすわる者たちを照らし、われらの足を平和に導く(ルカ1章)。

ハレルヤ!!!(1999.12.25)


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